


私は、二基目の建設となる地下式LNGタンクの設計管理から施工管理まで一貫して行っていました。このタンクは容量が20万klと世界最大級の規模というのが一番の特徴で、このタンク一基で、およそ30万世帯に1年間都市ガスを供給できるというものです。
平成16年からスタートしたプロジェクトは、私のような土台を作る土木チームと、上ものを作る機械チーム、さらに計装チームの全11名で進め、平成21年の8月に完工し、試運転を経た後、運用を開始しました。
私自身、タンク建設のプロジェクトに携わるのは初めてだったので、完工するまでにはいろんな課題や困難がありましたが、無事に完工できたことは本当に嬉しいですね。


LNGタンク本体の底(底版)は厚さ8.0mというとても分厚いもので、構築するためには39,000㎥、およそ生コン車で7,800台もの膨大な量のコンクリートを打設する必要があります。通常は何回かに分けて少しずつ打設していくのですが、打ち足した部分は構造上の弱点となるため、LNG地下タンクでは1回で連続打設をすることが必要で、そのために4昼夜(107時間)連続で行ったのです。コンクリート連続打設工事としては、規模・時間ともに国内最大規模でした。この昼夜の管理を私を含めた土木担当者2名と、新入社員の1名の3名体制で行わなければならなかったので、とても大変でしたね。
さらに最悪の事態が発生!施行中に降雨による停電が発生し、コンクリートを均一に打つためのバイブレーターが停止してしまったのです。打設を中断するわけにはいかないため、何とか生きているバイブレーターで作業を進めながら、電気関係の作業員を総動員しての復旧作業が行われました。ただ不幸中の幸いだったのは、冬であったことと、雨が降っていたことでコンクリートの乾きが通常よりも遅く、品質にはまったく影響が出なかったことです。今思い返しても、運がよかったと思います。確かに事前の施行計画内で停電対策は立てていたのですが、降雨による停電はまったくの想定外でした。あの時はただがむしゃらでした。現場にいる時はあまりの状況にしびれていましたからね(笑)


そうですね。私の場合はこのプロジェクトのメンバーとなるために異動となり、まったくの素人からのスタートでした。それがいきなり世界最大級のLNGタンクの設計管理から実際の施行管理まですべてに携わってこられたのですから、そのこと自体が貴重な経験になりました。その上で、途中いろいろありましたが、順調に遂行できたことは、何よりも大きな自信になりましたね。
またこれだけ大きなプロジェクトでは、機械メーカーやゼネコン、ガス会社、電力会社などさまざまな企業の人と交流する機会が非常に多くなります。その中で、視野はもちろん、交友関係も広がったのは嬉しいですね。
このプロジェクトメンバーは30歳代がほとんどを占めており、若手中心で進められました。私もそうでしたが、当社には、若い人間にもどんどん責任のある仕事を任せるという風土があります。机上の計画と、実務はまったく異なるので、やはり経験することで大きく成長します。そういった意味では、エンジニアとしての実力を確実につけていける環境が整っていると実感しますね。

工場自体は今後6基までタンクを建設できる敷地があります。環境にやさしい天然ガスは需要が拡大しており、将来、タンクを増設する可能性もあります。現在はプロジェクトチームが解散したため、私は研究開発部門に異動になりましたが、次のタンク建設プロジェクトが立ち上がる機会には、今回の経験を活かし、そのプロジェクトにも参画したいですね。
土木工学=civil engineering、つまり市民工学という意味もあります。世界のエネルギー市場は急激に変化しています。地域の人や企業にエネルギーの供給という形で貢献できるような仕事を続けていけたら本望ですね。