

私は大学院で化石燃料について研究していたため、エネルギー業界に興味がわき、地場のエネルギー産業の一翼を担う東邦ガスを志望先として選びました。また、東邦ガスには技術営業という分野があり、これは私が理想とする企画や提案型の仕事であったため、ひときわ興味が湧きました。もちろんほかにも、エネルギー関連の企業はあったのですが、調べてみると設備メンテナンス系統の職種での採用が目立ち、自分のキャリアビジョンとはうまく合致しなかったのです。
入社以来、ずっと産業エネルギー営業部に所属しています。私の営業先は街の工場で、そこで働く責任者の方々と折衝し、工場に産業用の都市ガス設備の導入を決めていただくのです。ガスコージェネレーションシステムをはじめ、最先端技術がどんどん投入されているエネルギー業界ですから、オフィスも仕事のスタイルもクリーンでスタイリッシュなイメージがあるのかもしれませんが、実はそうではありません。工場には昔ながらの職人気質の方が多いので、スーツを着てスマートな営業を装っても、なかなか相手にしていただけないのです。むしろ作業着を着て「こんにちは、最近どうですか?」と世間話から始まる会話で気軽に接する方が、お客さまとの距離感もいっそう縮められやすいですね。
1年目のときは、知識や自分の力に自信がなく、営業先では会話の盛り上がり具合も今ひとつで、大きな収穫を得るのが難しかったです。もちろん最終的な目標は契約を結んでいただくことなのですが、その前にまずは、わずかでもいいので、自分の話を聞いてもらうことを目先の目標に掲げて、営業に勤しむようにしました。そのためには、自分で知識や情報を積極的に集めて、何度も工場に出向きました。これを繰り返して行い、それでようやく相手の状況や業務について少しずつですが、引き出せるようになったのです。
私は仕事とは常に楽しく向き合っていきたいと思っているので、ポジティブな気持ちを保ち続けるよう、自分を奮い立たせています。ようやくお客さまを折衝のステージに呼ぶことができても、主に価格の面で難題を突きつけられることも少なくありません。そこで焦って価格の勝負に出るのではなく、お客さまの要望に親身になって耳を傾け、本当に困っていることをうかがってその点を解決させていただくことが、真のお客さま思いの営業であると思います。契約を取るまでは先が長く、ひとつ障壁を乗り越えたら、またすぐに次の障壁が自分の前に立ちはだかり、まさに千里の道を歩んでいるかのような感覚ですね。しかし、契約の締結ばかりを追求するあまり、お客さまの要望すべてに「イエス」と回答するのは、いい営業であるとは思いません。お客さまと我々双方の思いが一致し、より最適なご提案ができ、お客さまに喜ばれることこそがあるべき姿だと思うからです。
長い道のりを歩んで契約を掴んだときは、何よりも堪え難い喜びを感じますが、本当の喜びは、お客さまがガス設備を使ってくださり、その結果、ガス設備を導入してよかったと感じてくださることです。しかし、これもまた営業の過程と同じで、すぐに結果が表れるものでもありません。都市ガス設備を使用して半年、1年などの中長期的スパンで導入の成果を検証した上で、お客さまは「ガスに変えてよかった」を実感されます。地道な世界で障壁も多いのですが、エネルギーでこの街を支えている確かな自負が私にはありますし、この自負が力強い支えとなり、新たな障壁を乗り越える勇気を与えてくれます。チャレンジすることの楽しさを体感できる、幸せな仕事に就けたと思っています。