これまでにない先進的な製品であるエネファームを
まずはどのように社内で周知徹底しようとしたのでしょうか?

エネファームという商品そのものがこれまで私たちが扱っていたガス機器とは大きく異なる製品です。これまで多くの給湯器を扱ってきましたが、エネファームは発電する給湯器。さらにガスを燃やすのではなく化学反応によってエネルギーを生み出しています。社内でも「どう販売したらいいのか」明確に方針を打ち出せていませんでした。特にお客さまへ提案する立場である営業への周知が課題でした。
開発から携わった私たちからすると、これはまさに今後のガス会社の家庭用機器をリードする製品。従来、電気は発電所で生み出され、送電線を通じて各家庭に届けられますが、発電時からご家庭に届くまでにロスが生まれます。しかしエネファームは、設置場所にて発電、その場で電力を利用できるためエネルギーを無駄なく使えます。またガスを燃やすことがないためCO2削減に大いに貢献できます。こうしたメリットをまずは社内で徹底的に伝えることから始まりました。

本格的な営業を前にして、様々な苦労があったと聞きました。

やはり営業担当への周知に苦労しました。営業担当を集めての勉強会を開催し、ガスの化学反応による発電の仕組みやエネファームを利用することで、どれだけの二酸化炭素を削減できるかなどを分かりやすく伝えようとしました。その際に寄せられる疑問の数が非常に多く、営業担当としてもエネファームを提案することに不安が多かったんだろう、と知らされました。
実際にエネファームを利用することで、年間1.5tものCO2を削減することができます。これは自動車のアイドリング・ストップや空調を下げることで削減できるボリュームとは桁違いの削減量。エコロジー活動は、何かしら我慢や苦労が伴うと思われがちですが、エネファームを導入することで、普通に生活するだけで地球温暖化の防止に貢献できます。
こうした「環境性」の他にも宇宙開発の技術を応用している点などの「先進性」、そしてエネルギーを効率的に使える「ランニングコストパフォーマンスの良さ」の3つをお客さま提案時のキーワードとして用意し、営業時に徹底してもらうよう伝えました。私は開発から携わっていた実績から機械については一番知っているという自負がありました。時には営業に同行し、営業時に出た疑問は会社に持ち帰り、徹底的に潰し、営業の理解度を底上げすることに注力しました。

実際に営業活動を始めた頃の
現場の声というのはどのようなものだったのでしょうか?

まずは住宅メーカーへ徹底的に営業を行いました。新しく住宅を建設する際の導入を狙いとした為です。営業活動の当初、やはりネックになったのが導入時のコスト。当然一般的な給湯器より高価であるため「誰が買うんだ」という意見を耳にすることもありました。
しかし省エネルギー、エネルギーの高効率利用は国の方針であり、この分野で挑戦をしないとガス会社の未来はない。地道にこうした製品の価値を営業担当と共有することを意識しました。
実際に販売を開始すると、お客さまから「これ、いいよね」という言葉を頂くことになりました。ようやく営業担当も「これ、売れるかな?」という不安から「これは売れる」「これはやれる」という確信に変化し、営業活動にも自信が見えるようになったように思います。
その後、導入頂いたご家庭から「床暖房とセットで利用しているが光熱費が思ったより上がらない」「家庭で使用する電力のコストについて意識するようになった」などの声を聞くようになりました。また導入を見合わせているお客さまの多くも環境意識が高い人が多いが、導入コストに不安をもっている。つまり皆、興味は持っているということでした。そのため量産体制の見直しや機器に利用する部材の見直しでコストダウンに取り組み、年々、導入コストを抑えることに成功しています。

その後、リフォームの際にも提案するなど
営業活動は幅広く行われているそうですね。

営業担当と一緒にお客さまを訪問する際に心がけているのは「エネファームのファンを増やそう」ということ。中でも専門性の高い質問など営業担当ではなかなか応えることができない疑問も開発から一貫して携わった私なら応えることができるものもあります。まさに仕事冥利に尽きますね。そうすることで営業担当の知識が増え、その知識が共有されている証拠に、日々、私の所へ寄せられる質問が減少しています。それはそれで寂しい気持ちもありますが(笑)。
最近ではお客さまから太陽光発電とエネファームを利用したW発電に関するお問い合わせなどを頂き、ご家庭で利用するエネルギーに対して非常に高い意識をお持ちになっていることを実感しています。

今後の目標について教えてください。

エネファームはまだ市場に出て3年。まだまだご利用いただくお客さまの数を増やし、同時に継続的なコストダウンに挑戦したいと思います。
元々開発担当当時、エネファームに関してメーカーの技術者とやりとりすることは多かったのですが、今の仕事について社内の営業は勿論、住宅メーカーなど幅広いネットワークを築くことができました。その中で自分の視野を広げることができたように思います。開発という仕事を通じて専門性を高めることも大切ですが、色んな人の意見を踏まえ、開発に活かす。お客さまの声を形にするのが、東邦ガスの仕事だと思っていますから。