

世界全体でCO2削減が叫ばれる昨今、業務用においては各企業の自助努力により順調に削減されている一方で、家庭部門では逆に排出が増えていることを問題視。1999年に総合効率が約80%と高い省エネルギー性を発揮できる家庭用燃料電池開発の本格的取り組みが始まった。
当時、松井はまだ学生。エネルギー業界に興味があり、エネルギーに関する研究に携わってみたいと目指す方向が見えてきた頃だった。
2002年から、給湯器メーカと「排熱利用ユニット」の共同開発を開始。
仕様決め(貯湯タンクの容量、湯温制御)、試作、評価、改善を繰り返して機器としての完成度を高めていく。
ちょうどモニター導入が始まる2005年に松井が入社。すぐにプロジェクトチームに配属になり、開発者としてスタートを切る。早速、向かった先はエンドユーザーであるお客さまのところ。現場における実際の導入作業を任される。学生時代の研究室内の実験から一変!とまどいながらもここで多くの学びを得ることとなる。
家庭用燃料電池は、発電時の排熱をお湯としてタンクに貯め、給湯に利用するコージェネレーションシステム。家族構成の違いなどにより、エネルギーの利用状況は異なる。そこで、発生した電気と熱を無駄なく利用するために、燃料電池をもっとも効率よく運転するパターンを計算する技術の開発を行った。この運転制御システムを組み込んでモニター導入への準備が完了。
2005年に国家プロジェクトとして始まった「定置用燃料電池大規模実証事業」に参画し、2008年度までの4年間を家庭用燃料電池モニター導入期間と位置づけ、約120台の燃料電池を設置する事になった。そこで、2005年は社員および関係者、2006年度以降は一般のお客さまを対象にモニターに協力してくださる方を募集し、選定した。
2006年から一般のお客さまのところへ説明に向かった松井は、多くのお客さまが商品化に大きな期待を寄せていることや機器に対して要望していることを直に知り、あらためて強い使命感を感じることになる。
家庭用燃料電池は、設備販売店にとっても新しいガス機器であるため、システムの説明や設置方法などの勉強会を実施した。その後、機器の施工検証を通して改善要望を開発メーカにフィードバックすることで、施工性の向上を目指した。
作業にも立ち会っていた松井は、設備販売店にとって施工しやすい方法とは何かを自分の目で確かめながら、作業員からもヒアリングした。このことが商品化に向けて貴重な経験になったことはいうまでもない。
いよいよお客さま宅に家庭用燃料電池を導入。モニター導入にご協力いただくお客さまに燃料電池について説明し、設置場所を決定した後、システムを据え付けるための基礎工事、機器の据付け,試運転、系統連係試験と一連の作業を行う。すべて完了すると、家庭用燃料電池の稼働スタートとなる。
ここで松井は、設置を円滑にすすめるためにはお客さまだけでなく、設備販売店やメーカなど関連する方とのコミュニケーションが大事だと学んだ。この時の経験が、現在の松井の礎になっている。
運転データは、携帯電話網を利用して遠隔で収集。収集したデータから機器の性能や燃料電池の導入効果などを評価検証する。
モニター導入から1年経過した頃、松井はお客さまから貴重なご意見をいただく。それらのお客さまの声や客観的なデータをもとに、改良していくこととなる。

モニター導入の試験結果(省エネ性、信頼性、耐久性、不具合、当社からの改善要望、お客さまからの要望)を開発メーカにフィードバック。またこれらを踏まえて次期モデルへの仕様検討などをメーカと共同で実施し、2009年5月から家庭用燃料電池"ENE・FARM"として発売を開始した。環境意識の高いお客さまにご好評いただいているところである。