


2004年、底堅い地域経済や環境意識の高まりを背景に増加するガス需要に対応するため、東邦ガスの主力工場である知多緑浜工場において、2基目のLNGタンクの建設が決定した。
翌2005年には、1基目と同じく容量20万klを誇る世界最大級の地下式LNGタンクを建設するため、新屋と武居を含む11人の精鋭がプロジェクトメンバーとして選ばれた。
計画規模が大きければ大きいほど長期にわたる緻密な工事計画の立案が必要となり、安全と品質の確保は大前提に、可能な限りの納期の短縮とコスト低減が同時に求められる。
具体的な検討事項は、①新技術の導入検討、②基本構造形式の決定、③設計条件の決定、④地震時に対する安全性の確認、⑤主要部材の寸法の決定、⑥施工方法・工程の決定と多岐にわたる。
新屋が担当する機械工事と武居が担当する土木工事を同時並行的に進めることにより、この工事計画の立案段階で1基目のLNGタンク建設時と比べて2ヶ月の短縮を実現した。

地下式LNGタンク建設の第一歩は、掘削中の地盤の崩壊と地下水の侵入を防止する壁(地中連続壁)を構築することから始まる。
地中連続壁は、厚さ1.2mの鉄筋コンクリート造りで、深度100mまで掘削して構築した。
タンク建設において、その後のステップを決定づける重要な建造物である。

地中連続壁の内部を地表から深さ50m地点まで掘削する。
4ヶ月もの月日と労力を費やし、1日あたり4,000㎥、最終的には270,000㎥の土砂を掘削した。
非常に地道な作業だが、タンク建設の基礎部分である。

予定していた地点まで内部掘削できると、次のステップはタンク本体の底(底版)の構築である。
底版は厚さ8.0mの鉄筋コンクリート造りで、生コン車7,800台分のコンクリートを4昼夜連続におよんで打設した。コンクリートの連続打設工事としては、規模(39,000㎥)・時間(107時間)ともに国内最大規模!
そんな工事で最悪の事態が発生…。武居は“最大の困難”にぶちあたることになる。
(※詳しくは武居のインタビューにて)

底版に引き続いて、今度は側壁を構築する。
側壁は、厚さ2.3mの鉄筋コンクリート造り、高さ48mの巨大な建造物であり、8分割して構築する。
底版と側壁の接合部分は非常に複雑な形状となっており、施工は困難を極めた。
そこで、実物大の試験体を構築するなど施工性の確認試験を何度も繰り返し、特殊なコンクリート(自己充填コンクリート)を採用することで、この難題をクリアした。

タンクの入れ物部分が完成すると、やっと屋根を組み立てるステップに入る。
あらかじめ24のブロックに分割して別の場所で組み立てられた屋根のパーツを溶接する。
ブロック化することで工期の短縮を図るが、肝心の屋根がうまくはまらない…。新屋は“想定を超えるトラブル”に対処することになる。
(※詳しくは新屋のインタビューにて)
タンクの底部で組み立てた屋根を空気の力で浮上させ、所定の位置で固定することで屋根が完成する。
約820tの物体が空気の力だけで浮上する様は一見の価値あり。
武居もその光景を見て、やっと気持ち的に少し楽になってきたのだった。
ここまで来れば、あとは仕上げの作業を残すのみ。
-162℃のLNGが蒸発するのを抑制するため、保冷材を周囲に取り付け、さらにその上にLNGが漏洩しないようにメンブレンという金属膜(その厚さ、わずか2mm!)を溶接して取り付ける。
屋根やメンブレンに漏洩がないことを確認するため、溶接部の検査を行う。
その後、タンク内部に都市ガスを充填し-162℃まで冷やす。
最後にLNGを払い出しと受け入れの試運転を実施し、世界最大級の地下式LNGタンクは完成する。ここで新屋の目に光るものが…。
では、実際にこのプロジェクトに関わった新屋と武居にいろいろ話を聞いてみましょう。